新社会人になったり、大学一年生になったり、海外に留学することになったりというタイミングで、初めて親元を離れて一人暮らしを始めるという方は多いのではないでしょうか。
一人になって何でも自由にできるという思いから、最初のうちは胸が踊るような日々が続くことでしょう。しかし、そんな日々もつかの間、しばらくすると一つの大きな壁が立ちはだかることになります。それがホームシックです。
言葉自体は聞き慣れたものですが、その意味や、どういった条件で起こるのか、どんな人がなりやすいのか、はっきりと理解していない人もいるでしょう。ホームシックを理解し、症状の軽減、予防に繋げましょう。
ホームシックについて
そもそもホームシックとは何なのか、どういったタイミングや状態で発症するのか、まずは簡単に知っておきましょう。
ホームシックとは
一度は耳にしたことがあるであろう言葉ですが、これは『故郷や慣れ親しんだ環境からいきなり新天地に出た人が、元いた環境や一緒に住んでいた家族のことを異常なほど恋しく思うようになる』という、一種の精神的病の名称です。
ホームシックは誰もがなりうる症状です。いったいどれくらいの割合で発症するのかを調べたとある調査のでは、男性の場合が三分の一、女性の場合はなんと半数以上の方が発症するという結果になりました。
ホームシックに陥りやすいタイミング
発症のタイミングは人によって差があるものの、多くの場合は、新天地に出て一週間から二週間経ったあたりで訪れるようです。
1.胸を高鳴らせながら新天地に赴く
2.慣れない環境に不安を覚え始める
3.なんとかして環境に慣れようと踏ん張る
4.緊張が途切れて、突然ホームシックになる
一般的にはこのような順序を辿ることが多く、寂しさや恋しさから、枕を濡らしそうになる夜が続くことになります。
ホームシックになりやすい人の特徴
思い込みが激しくネガティブ
慣れない場所で生活を始め、色んなことが上手くいかなくなると、不安にもなり、馴染みがあって安心感を得られる昔の環境が恋しくなります。また、このような症状は、思い込みが激しかったりネガティブな人ほどなりやすいです。
こういう性格の人は、なにか失敗があった時にとにかく自分を責めてしまうことが多いです。些細なことでも深刻に捉えてしまうので、気分が落ちやすく、周りに支えてくれる人が居ないと、一人でどんどん沈んでしまいます。
受動的な生き方をしている
好きなことをしている時間が嫌な人は居ないでしょう。自分がしたくないことをやらされている時、人は嫌という感情を抱くのです。
例えば、「心の底から一人暮らしを始めたい」と思って家を飛び出した人はホームシックになる確率は低いです。ですが反対に、「本当は一人暮らしなんてしたくないけど、しなければならない」と思って嫌々扉を開けた人は、当然ホームシックになりやすいです。
人付き合いが苦手
新天地で一人暮らしを始めるとなると、最初のうちは友達や知り合いが誰一人近くにない状態で生活することになります。話し相手が居ないという孤独感は、ホームシックになる原因の中でも一、二を争う大きな要因です。
仮に人付き合いが上手であれば、近所の人や学校、職場で友達と呼べる相手を作り、現地でできた仲間と遊びに行ったり話し合う事もできるので、孤独感を味合わずに済みます。
ですが、それが苦手な人は、地元の友達や家族とこまめに連絡を取ったり、帰省をするなどして孤独を紛らわすしかありません。
ホームシックになる原因とは
ホームシックになる原因には、生活環境などの外的要因と、今の自分を形作ってきた習慣などの内的要因が存在します。
外的要因
友人・知り合いがいない
新天地に出て行って最初のうちは、もちろん友達もいなければ知り合いすらいない状態です。人は何かで思い悩んでいても、他人に話すことで楽になれることがあります。しかし、その相手がいないわけです。
その結果、全てのストレスを自分一人で抱え込むようになります。さらに孤独感も相まってどんどん自分が惨めに思え始め、だんだんと心が病んでいきます。
思うようにいかない不安や焦り
一人暮らしを始めて最初の方は、できないことも多く、何度も行き詰まります。その繰り返しによって自信をなくしたり、周りが出来ているのをみると焦る気持ちがこみ上げてきます。
それがだんだんストレスとして蓄積されていき、限界に達したところで爆発、ホームシックになってしまいます。
内的要因
過保護な家で育った
過保護とまではいかなくても、ある程度甘やかされて育ってきた人、例えば、家事全般を家族任せにして、あまりやってこなかった人はホームシックになりやすいです。
一人暮らしを始めて、家族が軽い手付きで行っていた家事を、実際に自分でやってみることになります。するとどうでしょう、まるであの軽い手付きが嘘のように、家事の大変さを思い知ることになるのです。
そうして、これからの生活にとうとう不安を覚え始め、ホームシックへの道をたどっていくことになります。
ホームシックになった時の解消法6選
いくらホームシックに対する知識がついて、意識して生活していたところで、、初めて親元を離れる時というのは不安になって当然のことです。症状の大きさは違えど、ホームシックは誰もが通る道です。
ホームシックの症状を和らげたり、解消する方法には以下のような方法があります。
熱中できるものを見つける
例えば趣味であったり、仕事であったり、何でも良いので、とにかくそれをしている時だけは全て忘れられる、というようなものを一つは持っておくと良いです。
ホームシックの波は、睡眠前などなにもすることが無い時間帯にやって来ることが多いです。つまり、極端な話、ただぼーっと考えるだけの時間、余裕を与えないような生き方をすれば良いのです。
ポジティブに考える
ネガティブ思考の人がホームシックになりやすいということは先程もお話しましたが、その反対で、ポジティブ思考の持ち主はホームシックになりにくいとされています。
例えば、仕事や学校が上手くいっていない時に、駄目だったことをうじうじと反省するのではなく、じゃあ次はどうしてやろうかという風に常に前向きに考えることが大切です。
現地の友達を作る
やはり、現地に友達が居るか居ないかという違いには、天と地の差があります。初対面の人と仲良くなろうとするのは勇気の居ることで、決して簡単なことではありませんが、出来れば話し相手くらいは作っておく方が良いです。
また、相手も自分と同じ、一人暮らしを始めたばかりの人ならば、きっとその相手も声を掛けられるのを待っているはずです。同じ境遇の人とならば仲良くもなりやすいかもしれませんね。
地元の仲間と連絡を取る
どうしても新しく友達を作れないという方は、地元の友だちや家族に話し相手になってもらうのもありです。今の時代、メールや電話どころか、ビデオ通話を使えば相手がどこにいようがの顔を合わせて会話することが出来ます。
そうやってこまめに連絡を取り合うだけでも、孤独感は和らぎます。逆に会いたくなってしまうこともありますので、帰省もちょくちょくすると良いでしょう。
笑う
笑うことが身体や精神に良いことは、いろいろな方面で取り上げられていますが、それはホームシックの場合にも同じです。
テレビでお笑い番組を観るも良し、今ならYouTubeにも笑いの種がたくさん転がっているので、仕事、学校終わりののんびりした時間は笑う時間に使うと良いかもしれません。
感情を我慢せずに外に出す
ホームシックになると、特に夜の静かな時間などには泣きたくなるような瞬間もあったりします。そんな時、大人が泣いたらみっともないという考えから、唇を噛みしめる人も多いかと思います。しかし、それはあまり良くないです。
泣きたくなるということは、不安や辛さが溜まりに溜まって、苦しいから吐き出したいという状況だということです。
なので、泣きたいときは思いっきり泣いてください。泣き止む頃には自分がどうして泣いていたのか忘ているくらいスッキリしています。
ホームシックにならないために事前に準備できること
ホームシックの解消法に付いていくつか話してきましたが、出来ることならホームシックにならないことが一番ですよね。そもそもホームシックにならないように、一人暮らしを始める前から事前にやれることはやっておきましょう。
目標を立てる
目標を立てて行動するということは、自分から動くという能動的な生き方に繋がります。自分は嫌々一人暮らしをするのではなく、あくまでも目標を達成するために一人暮らしを始めるんだという意識を持てば、ホームシックにもなりにくいです。
普段から外に出るようにする
これから先一人暮らしを考えている人も、一人暮らしを始めてすぐの人も、なるべく家には引きこもらず、普段から外でいろんな人や物に触れるようにしましょう。それを習慣にしていけば苦手だった人付き合いを克服することも出来ます。
ホームシックになるのは悪いことじゃない!自分を責めないで
ホームシックは誰もがなりうるものです。いま立派に働いている大人たちにも、かつてはそんな時代があったのです。むしろホームシックになるくらい、地元には愛が溢れていたと誇ってもいいくらいです。
ホームシックから自然と立ち直るようになるまでには、だいたい一ヶ月くらい掛かると言われています。だから無理に治そうと考える必要もありません。ただ、その一ヶ月で得た経験は、あなた自身を大きく成長させる、一生の宝だということも覚えておいてください。
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