就職や進学などで一人暮らしを始める人は、誰だって「快適な家で暮らしたい」と思っていることでしょう。
しかし“快適さ”の中身を見てみると、人によって求めるものに違いがあることが分かってきます。
「とにかく通勤に便利なところ」を基準に選ぶ人もいれば「ゆったりと落ち着けるところ」を基準にする人もいるといった風にです。
そして、自身の求める“理想的な暮らし”を実現したつもりが、大きな失敗となってしまうこともあるでしょう。
賃貸の物件を選ぶときに間違ってしまいがちな点とは、一体どういったものなのでしょうか。
今回は「場所選び」「部屋選び」「金銭面」の3つのキーワードを挙げ、それぞれの失敗について考えてみましょう。
失敗例その①:場所選び
「どのようなエリアに住むか」というのは、一人暮らしを考える人にとってとても重要なことといえるでしょう。
誰だって通勤などの利便性を求めるだけでなく、安心できて居心地の良い街に住みたいものです。
そのような点を踏まえて住む場所を選んでいるのに「場所選びに失敗した」と感じる人が一定数存在している現実があります。その理由について考えてみましょう。
駅近くの繁華街を選んで、騒音に悩まされることに
「駅に近ければ通勤がラクになる」という理由で、立地条件にこだわった家探しをした結果、繁華街に住むパターンが考えられます。
その場合、いざ住んでみて「大通り沿いで酔っ払いがうるさい」「学生街なので夜遅くまで騒がしい」「都心で物価が高い」といった不満が出てくることがあるでしょう。
「会社に通いやすいから」という理由だけで物件選びをしてしまうと、住んでみて初めてデメリットに気付くことになってしまいます。
近くにスーパーやコンビニがない
仮に駅近くの立地条件で、騒音に悩まされない物件を見つけたとしても「スーパーやコンビニが近くになくて困る」というパターンも考えられます。
「周辺にどのような施設があるのか」を気にしないまま、物件を選んでしまうとこのような問題に突き当たってしまうでしょう。
また、コンビニがあるからといって安心してはいけません。スーパーだと特売の商品が売り出される一方で、コンビニではすべてが定価なので意外に費用が掛かってしまうのです。
駅から遠い上に、夜道が暗い
「騒音が嫌だから」「閑静な住宅街で」と駅から徒歩で10分以上かかる物件を選ぶ人にも、失敗の原因が潜んでいます。
駅までバスで通うにしても、時間通りにバスが来ないために早めに家を出たりすることは、ストレスが積み重なる原因になりかねません。
ましてや通勤ともなると、毎日の繰り返しになる訳ですから大変でしょう。また、静かな住宅街は「駅からの帰り道が暗くて心配」といったケースはよくあるパターンです。
解決法:物件の周辺を調べると同時に、夜にも一度足を運んでみる
これらの問題を解決するためには「これだ」と感じた物件を見つけたとしても、その場で即決しないことが大切だといえるでしょう。
「これなら満足できる」というラインを自分で決めた上で、実際にその立地に住むことを想定つつ、近所にどのような施設があるのかを見て回ることが必要になります。
また、昼間に周辺の様子を見て回っただけでは不十分です。日が沈んでから、その物件のまわりの様子がどんな風なのかを知るために、夜にも一度、足を運んでみましょう。
失敗例その②:部屋選び
部屋を選ぶ際にも失敗することがあります。賃貸物件は、訪ねてきた人に対して良い印象を持ってもらうよう、管理会社によるクリーニングなどが徹底されています。
そのため、その瞬間は「すごく良さそう」と感じても、実際に住んでみると想像とは違ってくることが多いといえるでしょう。
どのような点で失敗と感じるのか、その例を挙げつつ、問題を回避するための方法について見ていきましょう。
実際に家具を入れてみると、想像より狭い部屋に
当然のことながら、物件を選ぶときには何も家具が入っていない状態の部屋を見て回る訳ですから、その部屋を広く感じてしまう傾向があります。
「この広さならノビノビと暮らせそうだ」と喜んで契約したものの、実際に家具を入れてみると「思ってたよりかなり狭くて失敗した」というケースは非常に多いでしょう。
物件を売りたい管理会社としては、その物件を魅力的に見せる工夫を凝らしています。そこに乗せられて契約してしまうと、後悔することもあり得るでしょう。
日当たりが悪く部屋が湿気でカビだらけに
「南向き」という情報から「さぞ日当たりが良いのだろう」と考えてしまうことは、失敗につながる原因となるでしょう。
「実際のところ、隣にあるビルのせいでまったく日が射さない」ということに、住んでから気付く場合も。
日当たりが悪いと、湿気で部屋がカビだらけになってしまうトラブルにもなりかねません。物件を売りたい業者は、そのような点を隠していることに注意しましょう。
エアコンをつけながらドライヤーをするとブレーカーが落ちる
決して出力が大きいとはいえない電化製品をいくつか同時に使っただけで、すぐにブレーカーが落ちてしまう物件も考えものです。
すぐに電気の供給が止まってしまうのですから、これでは快適な暮らしなどできるはずがありません。
解決法:内覧を必ずして、問題がないかチェックを
これらの問題を解決するためには、その部屋の内覧を必ずする必要があるでしょう。部屋の広さを調べるためには、メジャーを持って行って実際に計るようにしましょう。
また、日照の問題については、内覧の時にたまたま日が射しているだけかも知れません。そのため、日の方向や時間帯をチェックして「この時間帯ならこのくらいの日が当たる」と目星を付けましょう。
また、電力については一人暮らしなら30アンペアで十分でしょう。入居後でもアンペアを変更することはできますが、大家や業者への確認が必要に。そのため、事前に問題をクリアしておきましょう。
失敗例その③:金銭面での失敗
「もうちょっとお金を足しても良いところに住みたい」というのは、賃貸物件を探している人に多く当てはまるでしょう。
しかし「これぐらいの家賃なら大丈夫」と思って契約したところ、思ってもみない出費が重なってしまうケースがあるのです。
このような金銭面での失敗を防ぐために、注意しておくべきポイントを見ていきましょう。
初期費用が思った以上にかかった
家に住む最初の段階で支払うものが初期費用です。その内訳は、敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険料・保証料・引っ越し費用といったものです。
それらの総計がいくらになるかというと、なんと家賃の4.5~5か月分にもなるというから、軽く考えていてはいけません。
家賃ベースで「ここなら住めそうだ」と考えていても、そこに住むための前段階に数十万円の出費が必要になることを覚えておきましょう。
管理費がかかることを知らず、予定より家賃がオーバーに
月々支払うものには、家賃に加えて「管理費」というものがあります。管理費とは、一般的にマンションやアパートを維持管理していくために必要な費用のことです。
より具体的に言えば「エントランスや共用廊下の電気代・電球交換費用」「管理人の定期清掃費用」「その他の共用部分で発生する水道料金や修繕費用」といったものに使われます。
このような管理費には明確な基準や相場がないことを覚えておきましょう。極端な話、大家さんのさじ加減で管理費が変わることもあるのです。
ハイスペックな部屋を選び、家賃の支払いが苦しく
当然ながら、仕事の報酬から家賃は支払っていかなくてはなりません。「これだけは毎月貯金したい」「食費にはこれだけ使いたい」など、使い道は自身で決めているはずです。
しかし「ちょっとだけ背伸びすれば、この素敵な部屋に住める」という魅力的な物件に出会ったときに、心が揺らいでしまうのは良くあることでしょう。
その結果、家賃の支払いが家計を圧迫して、生活のバランスが崩れてしまうことも考えられます。
解決法:家賃や初期費用にかけられる予算を明確に
「貯金もあまりないけど、今すぐ引っ越ししたい」という人もいるでしょう。その場合は初期費用のことで不動産会社の担当者に相談してみましょう。
これは、礼金や仲介手数料のない「フリーレント」と呼ばれる物件を紹介してくれる可能性があるためです。また、初期費用は分割払いできる場合があることも覚えておきましょう。
次に管理費ですが「毎月掛かる費用」として家賃とセットで考えるようにしましょう。そうすれば、家賃が安くても管理費が高く、結果として出費が大きくなる問題を回避できます。
そして家賃自体が高い場合ですが、一般的に自身の収入の3割以内に家賃を収めることをオススメします。そうすれば、他で無理する必要がなくなるでしょう。
立地の周辺を調べ、部屋の内覧を怠らないという基本が大切
以上、それぞれのケースに分けて、発生しやすい問題点とその解決法を見てきました。賃貸物件の情報というものは、インターネット上にもゴロゴロと転がっているものです。
しかし、しっかりと時間を取って、その情報を発信している不動産業者とアポイントを取り、現地に足を運ぶという地道な作業をすることが大切です。
そこがおろそかになると「こんなはずじゃなかった」という後悔が出てしまうことでしょう。
自身の目で確認し、納得した上でモノを買うというのは、モノを買うときの基本です。
ましてやアパートやマンションの賃貸契約というのは、決して安くはありませんから、慎重になりすぎるくらいでちょうど良いのです。
ぜひ、じっくりと物件を選ぶようにしてください。
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