皆さんは自宅に蜘蛛が出現した時、どのような対応をとりますか?
見た目がグロテスクだったり、蜘蛛の巣を作るという理由から発見次第駆除する方も多いかと思います。しかし、家に現れる蜘蛛の殆どは『家蜘蛛』と呼ばれる人間に害をなすどころか逆に人間にとって有益な蜘蛛だということをご存知でしょうか。
人は外見にあらずとは言いますが虫だって外見の凶悪さだけで有害だと決めつけてはいけません。むしろ害ある他の虫を減らしてくれる家蜘蛛についてしっかりと理解した上で、これから蜘蛛に遭遇した時の対応に繋げてください。
蜘蛛は害虫を食べてくれる「益虫」だった!
蜘蛛というと凶悪な顔つきをしていたり、カラスと同じく不吉の象徴にされていたりと、一般的にあまり良いイメージを持たれることがありません。
確かに、人間にとって害となりうる蜘蛛がいることもまた事実です。しかし、仮に家で蜘蛛が出たとしても、それはほとんどの確率で『家蜘蛛』と呼ばれる無害な蜘蛛なので安心して放置しておいて良いです。
なぜ放置なのか?
害虫かどうかなんて関係なしに、虫が出た以上駆除したいと思いますよね。不気味な虫が自由に家の中を徘徊しているというのは虫嫌いからするとかなりのストレスでしょう。
しかし、蜘蛛に関しては放置しておいた方が良い理由が明確にあるのです。
家蜘蛛は人に対して無関心ですが、同じく家に住み着いた他の虫には興味津々で、手当たり次第にそれらの虫を捕食する習性があります。そして、家蜘蛛の中にはコバエやゴキブリといった害虫連中の駆除に一役買ってくれる種類もいます。
そういった理由から家蜘蛛は人間にとって有益であるということで『益虫』とまで言われています。
益虫の蜘蛛を放っておくことで害虫のゴキブリの数が減ると考えると悪くないのではないでしょうか。
また、細菌まみれのゴキブリを捕食した蜘蛛がその細菌を受け継ぐこともないとされており、蜘蛛が家を徘徊しても家が汚れることはありません。
以上のことから蜘蛛が家に現れた際には直ぐに駆除せずに見て見ぬ振りをすることをお勧めします。
益虫として大活躍してくれる2種類の蜘蛛とは?
家の中が不潔だったり湿気が溜まっていたりすると発生することの多い害虫の代表格としてハエやゴキブリがいます。
家蜘蛛の中には、そんな私たちが忌み嫌っている害虫を綺麗さっぱり捕食してくれる者がいます。中でもメジャーなのがアシダカグモ とアダンソンハエトリです。
アシダカグモ
名前の通り脚が長くサイズも大きめな蜘蛛です。家で遭遇したら思わず二度見しそうな凶悪な見た目とは裏腹に臆病な性格をしており、基本人間が寝静まった後にしか活動しません。
アシダカグモが家に入ってくる理由はゴキブリを捕食するためで、アシダカグモが家にいるということはゴキブリがたくさん潜んでいる可能性もあるということです。
見た目はおっかないですが害は無く、向こうから近寄ってくることもなく、ゴキブリがいなくなれば自然と去っていきます。もし発見しても見なかったことにすると良いです。
アダンソンハエトリ
家で見かける蜘蛛のほとんどはこの蜘蛛です。アシダカグモと違い日中に徘徊する蜘蛛ですが、サイズも1cm未満と小ぶりで遭遇してもそこまで驚くこともないでしょう
その名の通り、ハエを捕食しますが、基本的に自分より小さい虫ならなんでも捕食するので、例えば蚊も食べますし、小さければゴキブリでも捕食してしまいます。
またアダンソンハエトリには巣を作らないという特徴があり、蜘蛛の巣で部屋が汚されるという心配もありません。
見た目の不快感も少なく幅広く駆除を行ってくれるので、目撃するたびについつい愛着が湧いてくるかもしれません。
害虫と考えてよい注意すべき蜘蛛とは?
家に現れる蜘蛛のほとんどは毒を持たない無害な蜘蛛ですが、蜘蛛全体で見ると毒蜘蛛の方が圧倒的に多いのもまた事実です。
例えば蜂や蝉を捕食する益虫とされているジョロウグモも僅かながら毒を持っています。益虫とはいえ何でもかんでも触らない方がいいです。蜘蛛も生きているので自己防衛くらいはします。
とはいえジョロウグモの持つ毒も少し痺れる程度のものであり、そもそも人体に大きな影響を与えるほど強い毒を持っている毒蜘蛛に出くわすことは滅多にないです。
猛毒を持ち、かつ日本に生息する種類の蜘蛛はかなり限られているので、この機会にその姿や名前だけでも頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
コマチグモ類
代表的なものに
・カバキコマチグモ
・アシナガコマチグモ
・ヤマトコマチグモ
・アカスジコマチグモ
・ヤサコマチグモ
などがおり、体長はどれもだいたい1cm前後でオレンジ色、茶色など薄い色をしています。
イネ科の植物や広葉樹の葉を折りたたんだり繋ぎ合わせたりして巣にしており、巣になっている葉を誤って開いたりすると咬まれる恐れがあります。
咬まれると激痛が走り、赤く腫れて水ぶくれになったり潰瘍になることもあります。
ひどい場合には頭痛や嘔吐、ショック症状を引き起こす可能性もあり、神経毒のため、老人や子ども、心臓の弱い人であれば死に至ることもあります。
もし不自然な形をした葉っぱを見つけた場合には、絶対に触らないようにしましょう。
ゴケグモ類
こちらも毒性の強い種類で、この種類の厄介なところは草むらなどに生息するコマチグモ類と違い、家の周辺などでも発見されるというところです。
代表例に
・セアカゴケグモ
・クロゴケグモ
がいます。中でも、セアカゴケグモは近年かなり問題になった、今や誰もが知る程の超危険な猛毒蜘蛛で、家の周りの溝などに潜んでいることがあります。
咬まれると大量に汗をかき、激痛とともに吐き気が迫り、早めに病院へ行って対処しないと最悪の場合死亡することがあります。
文字通り背中が赤く、一目見て危ないことが分かりますので見かけた際には絶対に近付いてはいけません。
それに対してクロゴケグモは、猛毒ではありますがセアカゴケグモに比べると威力は落ちます。咬まれた際の致死率は1パーセント未満です。
しかし、意外にも死亡件数が多いのはセアカゴケグモよりクロゴケグモで、その理由として屋内でも発生することがあります。
今までにゴミ箱の近くや椅子の裏などに蜘蛛の巣を張っていたという事例があります。対策としては餌となる他の虫を発生させないように、清潔を心がけることです。
毒蜘蛛でも基本的に蜘蛛は攻撃的ではないのでこちらから手を出さない限りは問題ありません。駆除する場合も刺激を与えなないように殺虫剤でさっと仕留めましょう。
益虫でもグロテスクだから無理…という人に向けた対処法
蜘蛛には益虫もいれば害虫もいるという話でしたが、そんなものは関係ない、どちらにせよあの見た目が耐えられないという方はやっぱりいるかと思います。
蜘蛛と遭遇したら即刻殺虫剤で駆除するのも良いですが、その前によく考えてください。さっきもお話ししましたが蜘蛛が部屋に入ってくる理由は餌となる他の害虫を捕食するためです。
つまり蜘蛛の現れる場所には他の害虫がいるということで、他の害虫がいなければ蜘蛛もわざわざ入ってきません。
蜘蛛一匹駆除するのは簡単かもしれませんが、そうすることで他の害虫が勢いを伸ばすのであれば全く意味がありません。
蜘蛛はある意味、防虫対策が疎かになっていることを警告してくれています。真の対策は蜘蛛の餌となる害虫が近寄らないような防虫対策を施し、蜘蛛がそもそも寄り付かない部屋作りをすることにあるのではないでしょうか。
理想的なのは蜘蛛を殺すことなく「共存」すること
家蜘蛛がハエやゴキブリのような害虫を捕食してくれれば、その家で害虫と遭遇する確率は下がります。蜘蛛も餌を確保できて両者共にwin-winな関係と言えるでしょう。
何度も言いますが防虫対策が万全ならばハエやゴキブリに遭遇することもなければそれを追ってくる蜘蛛に出会うこともありません。
人間の不始末を蜘蛛がカバーしてくれていると考えれば、蜘蛛の存在をありがたく感じてくるかもしれません。
あと、早い話が無害な蜘蛛を殺して雑菌まみれなゴキブリに家の中を徘徊されるか、無害な蜘蛛を徘徊させておくことで雑菌まみれなゴキブリが出現しない生活のどちらが良いか考えてみてください。
蜘蛛がいるということは必ず他にも害虫が潜んでいるということを念頭においた上で、これから家蜘蛛と遭遇した時の対応について考えてみてください。
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